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2021/07/30 15:37

サボテンや多肉植物、コーデックス、アガベなどを育てている多くの方が、プレステラなどのスリット鉢にお世話になっていることと思います。プラスチック製のスリット鉢は「鉢内の温度が上がりやすく」「スリットのおかげで排水性が高い」というメリットがあります。 
もちろんこれらのメリットは、水やりや培養土とのバランス次第でデメリットになることもありますが、何れにせよ「多くの人が使っているのでトラブルシュートがしやすい」という一番のメリットがスリット鉢にはあると思います。

そんなわけで、デファクトスタンダードとも言えるスリット鉢と比較し、BACHIが制作するメッシュの鉢の鉢内温度変化と保温性能はどう違うのか。今回検証を行ってみました。

比較する鉢は3つです。

- プレステラ(黒)
- メッシュ鉢(標葉3号鉢)
- 素焼き鉢

検証のしかた

今回の検証は8:00から20:00までの12時間、1時間ごとに鉢の温度を測ります。
環境は7月末の福岡、晴天・微風です。直射日光が当たるところで計測しています。

こんな感じで温度計をセット。鉢のサイズが違うため温度の誤差は多少出るかもしれません。
左からプレステラ黒(スリット鉢)、メッシュ鉢(標葉3号鉢)、素焼き鉢(2.5号)です。
土はすべて同じで、硬質赤玉土・日向土・ゼオライトです。水分量はゼロです。

検証結果

いきなりですが検証結果です。

ちょっと見づらいかもしれませんが、グラフにするとこんな感じです。直射日光が当たっていたのは9:00から15:30くらいまででした。
8:00時点の気温は28.9℃で、13:00が最も高く35.8℃。そこからだんだん下がり、20:00時点では27.5℃です。緑色の線が気温ですね。
気温に比べ、鉢はだいぶ高温です。すごいですよね。

検証から感じたこと

グラフを見ると、プレステラとメッシュ鉢の温度推移は似ています。これは保温性能が似ているという解釈で間違いないと思われます。温度に関しては、午前中こそプレステラが約1℃くらい高温ですが、午後からはメッシュ鉢が少し高温になりました。
素焼きの鉢は3つの中で最も早く冷めていっています。これはこれで鉢内温度の緩急があり、良いのではないかと思いました。
メッシュ鉢を作っている私としては、プレステラと似た保温性能であることは、ちょっと嬉しい結果でした。

まとめ

上記のグラフを見て「50℃近くまで上がってるけど大丈夫!?」と心配される方もいらっしゃると思いますが、これはあくまで参考程度にしかならない数値です。
実際は鉢には植物が植えられている状態ですので、鉢や土に直射日光がすべて当たるわけではありません。植物に対して鉢が小さめの場合は土に直射日光か当たる範囲が狭くなりますし、逆に鉢が大きい場合は鉢内温度は高くなると予想できます。
そう考えると植物の大きさに対する鉢のサイズというのは、なかなか大事な要素ですよね。
忘れてはならない、灌水による温度変化ももちろんあります。

また、上の結果ですと素焼き鉢は保温性能があまりよくないように見えてしまうかもですが、それは育て方次第で良い場合もあると思います。温度変化が大きいほど植物の反応は良くなる、という話もあります。また保温時間が長いプレステラやメッシュ鉢は、根を育てるには有効かもしれません。
大切なのは鉢も含めたあらゆる環境のバランスですので、鉢1つで正解は決められないですね。もちろんメッシュ鉢を使ってほしいとは思っていますが...!

鉢の特性を知るための検証報告として、参考になれば幸いです。

今回検証で使用したのは標葉というメッシュ鉢になります。